もしこの人が居なかったら、僕は美容師を辞めていた

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これは、僕が美容学校を卒業して、今働いているお店に就職しちょうど3ヶ月ほど経った頃の話です。

「とうとう社会人かぁ〜」と思いながらも、なりたかった美容師の仕事をやるようになったのですが、実はこの時、仕事に対して物凄く苦戦をしていました。

自分で言うのも変な話なのですが、手先は器用で割と物覚えも良い方だったので、今までやってきたアルバイトなんかはけっこう早い段階で覚えちゃうタイプでした。(少し調子に乗ってますw

だから、仕事に対してもすぐに出来るようになる妙な自信だけはありました。

しかし、美容師の1年目と言ったら、はじめは出来る仕事は全くありません。

いざ就職すると今までの仕事とは打って変わり、美容師は覚えることやお客様への気遣いの多さに毎日整理するのがやっとで【働いている】というよりかは、【なんとかこなしている】という感覚に近かったと思います。

毎日技術を覚えるために練習、朝から晩まで立ちっぱなしで営業、さらにお客様へ気を遣いながらの接客、何かミスをすれば先輩から叱られる、そんな日々を送っていました。

そんな生活が約3ヶ月続き、僕のモチベーションはだんだん停滞していきました。

学生時代のゆる〜くやっていた頃とは大違いで、社会人になったことの重みに耐え切れず、目の前のことから逃げ出そうとし、美容師を辞めてしまおうかと思っていた、そんなダメな自分でした。

ある日、そんな僕を見かねた当時の店長に呼び出されて個人面談をすることになりました。


当時の店長:「何か思ってることがあるなら、言ってみて」

自分:「……僕、正直辞めようか考えています」

当時の店長:「どうして?理由は?」

自分:「理由は……」

……理由に関しては、時間が惜しくてただ遊びたかっただけ。ホント、ただのバカヤローです。

美容師の新卒はほとんどが20歳で就職します。

同い年の大学生の友達なんかは、3年生でまだまだ遊びまくっている時期。

それに比べて20歳で就職した自分は、周りの友達が遊んでいることを羨ましがるが、平日休みなので時間も合わないということにヤキモキしていました。

自分:(あぁ〜、こんなのつまんねーな。美容師なんて辞めようかな?)

そんなことを思いながら、地に足が着かない状態で仕事をしていましたが、目の前に待っているお盆休みのためになんとか1ヶ月半頑張って仕事をしました。

そして、念願のお盆休みがやってきました。


お盆休みともなると仕事のことなんて一切考えなくてもいい期間なので、今まで遊べなかった思いを晴らすべく、休みの期間中は友達と遊ぶ予定や用事などを詰めに詰め込みました。

その予定の一つに、おばあちゃんの家に行って親戚と一緒に食事をするという毎年恒例の予定もありました。

ですが、僕のお盆休みはお盆が終わってからだったので、親戚ともタイミングが合わず、一応おばあちゃんには顔を出すという形で軽くご飯を一緒に食べに行きました。

その時は遊び行きたい気持ちでいっぱいで、多分2、3時間くらいしかおばあちゃんの家に滞在していなかったと思います。

友達と会う予定ばかり入れていたので、それぞれの友達と会うたびに「仕事辞めて〜」と嘆きまくっては、共感や同情を買ってもらいたいという本当に情けない当時でした。

ごはんも食べ終わり、おばあちゃんが自分のことを気に掛けてくれて、近況を聞いてくれました。


おばあちゃん:「てっちゃん、仕事の調子はどうなんや?」

自分:「仕事ね、、、正直キツイし、辞めたい」

おばあちゃん:「どうしてや?」

自分:「え〜、だって友達と休みも合わないし、仕事おもしろくないし…」

いつも味方してくれる優しいおばあちゃんのことだったので、僕の愚痴に対しても共感してくれるだろうとなんとなく期待していたら、

おばあちゃん:「てっちゃん、なに甘いこと言ってるの!もうちょっと続けなかんて!」

と、まさかの説教を食らってしまったのです。

僕としては、てっきり慰めてくれるものだと思っていたので、唖然としてしまい

自分:「ぁ…、分かった…、がんばってみるよ」

と、超小声で返事をしてたら、母親にもなぜか追加で説教を受けて、この日はおばあちゃんの家を後にしました。


おばあちゃんの説教の以来、「自分の考え方は間違っていたんだ」ということに気付かされ、残りの休みの日は遊びながらも常に反省の気持ちでいっぱいでした。

自分:(あぁ〜、情けない姿をばあちゃんに見せちゃったなぁ…」

そして、この日を境に僕に新たな目標が出来ました!

【おばあちゃんの髪を切れるようになるまで、絶対に辞めない!】と。

今回の件をきっかけに、今まで嫌々やっていたことや面倒くさがってやってこなかったことにも、精魂を入れて頑張るようになりました。

ー全ては、自分が一人前になっておばあちゃんの髪を切るために。

そこからの僕は仕事に対してガムシャラになりました。

先輩からどんな指導があっても受け止め、お客様から厳しいご意見を貰っても受け止め、ひたすら改善に励みました。

職場では教えて貰えない内容などは、講習やセミナーに積極的に参加し、知識や技術のレベルが上がるように努めました。

そんな感じでガムシャラに仕事をしていたら、気付いた頃には「辞めたい」と言っていた自分はどこにも居なく、いつの間にか仕事を始めて8年以上も経っていました。

技術はもちろん、立場もいつの間にか店長にまで上がり、まだ一人前と呼べるかどうか分かりませんが、ついにこの日がやってきた。

もし、当時の僕におばあちゃんが叱ってくれなかったら、「きっと僕は美容師を続けることが出来なかった」と未だに思います。

本当はもっと早くお店で切ってあげたかったのですが、ずっとおばあちゃんに

おばあちゃん:「そんなん、えぇて!えぇて!!」

となぜか頑なに断られてました。

しかし、母親にも協力してもらって、ついにおばあちゃんの髪を切る約束をすることが出来ました。

設備は不十分な状態だったのですが、誠心誠意込めて全力でカットをさせて頂きました。

カットも終わりきっちり仕上げたところで、おばあちゃんは「スッキリしたわ、ありがとね!」と言ってくれた。

何言ってんだよ、バァちゃん!本当にお礼を言わないといけないのは俺の方だよ。涙

自分:「また来月も来るからね、バァちゃん!」

と言い、僕はおばあちゃんの家を後にしました。

きっと、おばあちゃんが一年目の僕に言った言葉なんか忘れていると思います。

でも僕はその時の思いを忘れずに、これからの美容師人生を続けていきたいと思います。

バァちゃん、ありがとうね。

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